マッサージパーラー・ミラージュ危うし?
バンコクのいたるところにあるマッサージパーラー。その中でも特に集中しているパーラー街道は、ラチャダー周辺 だろう。いったい何軒あるのか分からないが、怪しさたっふりのネオンが続く。ラチャダーの魅力はなんと言っても交通の便の良さだと思う。地下鉄(MRT)のホイクワーン駅を降りると、すぐそこ にマッサージパーラーが通り沿いに並んでいる。タクシーを使わなくていいのは(タクシーに乗って店の名前を告げ るのはイヤでしょう?)言葉を交わす必要のある移動手段に慣れない旅行者にとっては大変ありがたいのである。
しかし、電車を使って行くのも全く問題がないわけではない。通常マッサージパーラーの営業時間は12〜24時。 店のルールもまちまちだろうが、出勤時間は自由なところが多いようだ。しかし夕方は客足が増えるので、5時頃に は来なければいけないらしい。
そうなると5時〜5時半ぐらいが一番選びがいがあると言うことになる。ちょっと出遅れたりすると、他の客に先を 越されしまうのだ。そうするとその時間に合わせて電車に乗ることになるわけだが、その時間帯は、仕事帰りの人た ちで、地下鉄はラッシュ状態になっている。
込んでいるのが困るわけではない。ホイクワーンの駅で、明らかに外国人と分かる者が下車することは、これからど こに行くのかバレバレだから困るのである・・・
駅に着き、降りた私の背後に突き刺さる乗客の視線、特に若いOLの視線が重く背中にのしかかる。こんな恥ずかしい 思いをするぐらいなら、いっそタクシーの運ちゃんに素直に行き先を伝えた方がいいかもしれない。
前置きが長くなったが、話を本題に戻そう。その日は何軒か回って雛壇の前に立ってはみたものの、イマイチ満足で きなかったので帰りかけていた。
「ここでダメなら今日は帰ろう」と最後に立ち寄ったのがミラージュだった。
たったの6人しか雛壇にいなかったので、ライバルたちに遅れをとったことに舌打ちをした私は、どうせ残り物であ ろう6人に近づき、やる気なさげにガラスの向こうに目をやった。するといるではないか。ピカイチの泡嬢が。
ライバルとは団体旅行の中国人のことだ。大勢で来てゴッソリとかっさらって行ったに違いない。奴らの得意のパタ ーンなのだ。ありがたいことに、国籍がちがうと美的感覚のちがいから、大きな宝を見落としてくれる。「残り物に は福がある」という言葉を改めて噛みしめた。
彼女の値段を聞くと、係りの男は2500バーツと言う。それはおかしい。そこの席に座っている子は1900バー ツだと私は知っている。これは明らかにボッタクリと感じた私だが、それを承知で受け入れた。ボッタくられること も、このブログの記事を書くネタになるからだ(笑)
おまけにこの男は「特別なVIPルームを用意するから300バーツオレにくれ」と言ってきた。既にボッタくったこの 男の言葉などもちろん信用はできないが、どんな展開になるのかが楽しみで了承した。ちょっとは期待をしてみたも のの、結果は案の定、いつもの普通の部屋だった。
さっそく女の子本人に値段を尋ねてみると、思った通り1900バーツ。あいつにまんまと計900バーツを騙し取 られたわけだが、想定内のことだったのでよしとする。(面白い体験をするために、ワザとボラレてるときもあるの です。知らずにボッタくられると頭にきますが)
彼女といろいろ話を進めてみると「今日でここは最後なの」と既に決まっている明日から働く店の場所とナンバー( 一人一人が自分の番号を持っていて、指名するときなどに便利)を教えてくれた。今日で最後になることはボスには 何も話してないと言う。つまり明日から急にバックレル予定らしいのだ。
理由を聞くと彼女いわく、ミラージュはあと3ヶ月ぐらいしかもたないんじゃないかと、同僚たちの間でうわさにな っているらしい。以前に比べて客がだいぶ減っているようなのだ。仕事が減った泡嬢たちは、次々と別の店へと移っ て行ったらしい。在籍人数が減れば、雛壇を綺麗に飾れない。魅力のない雛壇からは客足が遠のいていくという悪循 環に陥っているのだ。
入店したときの寂しい雛壇は、実は繁盛しているのではなく、人材不足だったのだ。
明日バックレ予定の彼女は「実は昨日、新しい店の下見がてらに仕事してきた」と昨日の給与明細をみせてくれた。
ミラージュと言えば、ポセイドンやナタリーと同様に知名度があり、初心者にも敷居が低く、入りやすい店として高 い人気を誇っていたはずだ。それがもうすぐ潰れると内部から言われているのだから、きっとそうなるのだろう。
ボッタくった男の心境も窺える。
以前のタイは東南アジアでの観光収入は一人勝ちだったが、近年のバーツ高に加え、周辺のベトナム、カンボジア、 ラオスなどが観光事業に力をつけてきて、競争を強いられるようになってきている。現実にタイの訪問外国人数や観 光収入は激減しているのだ。
この事態に対するタイ人の対応は、減収分を値段を吊り上げることでバランスを取ろうとしている。この4〜5年、 さまざまなものが「減収を補うための値上げ」と強く感じることが多い。ライバルと値段やサービスのよさで争う姿 勢はみられない。タイを常連とする観光客の間では「タイ人はなんてビジネスセンスないのか。どんどん観光収入が 他国へ逃げていっている」と呆れられている。
ミラージュがなくなってしまうと惜しむファンもいるとは思うが、私はそんなことはお構いなし。ラチャダー界隈に は楽しい店はたくさんありますので。負けた店にはさっさと退陣していただきたい。
誠実さを失った店は廃業に追い込まれるのがビジネス界の掟なのです。他の店には生き残るためにもっと競争しても らって、さらなるサービス向上をしてもらいたいと思う今日この頃です。(2007年9月)
